米国株投資で国際分散投資に挑戦する
日本にいると、どのような場面でも自国通貨である円を使います。価値が安定しており、十分に流通しているからです。しかし、これは世界、特に途上国まで入れて見るとマイノリティです。自国通貨に絶大な信頼がある恵まれた国、それが日本なのです。
インフレの強い国では自国通貨と並行して米ドルが流通しています。むしろ、米ドル払いのほうが歓迎されます。自国通貨をキャッシュで持っていればインフレ分で自然に価値が減っていくことをみんな知っているからです。
その安定した円も、ほんの70年前に価値が大暴落した歴史があります。戦後すぐの話です。だからと言って今の円の信用が急に揺らぐわけではありません。しかし、未来永劫安定した価値を持ち続ける通貨はまれだということは、知っておきたい歴史の事実です。
米国株投資の3つのメリット
とはいえ、かつてのように何が何でもドルに両替をする必要はありません。円建ての米国株ETFや投資信託などを買えばよいからですね。そのような米国株投資で得たインカムゲイン、キャピタルゲインもそのまま買い付け費用として、何らかの現金以外のアセットで持ち続けることが良いでしょう。
また、なんらかのアセットで持つことはいくつか理由があります。あげてみましょう。
通貨の分散は為替リスクの分散になる
強制貯蓄効果がある
世界経済の成長に同期できる
理由は以上の3つです。
為替リスクの分散
1つ目はリスク分散です。円の価値はすぐに揺らぐものではありませんが、1000兆円を超える国債を抱える財政は不安要素です。ヘリコプターマネーや国債永久債化などの案があります。これらに共通するのは大なり小なりのインフレ、円の減価です。
インフレになると通貨の価値は下落しますから、程度にもよりますが円も毀損することでしょう。ちなみに米ドルは年率だいたい1~2%インフレです。通貨は株式投資と同様に1点集中で持つべきものではなく、分散させて持つべきものとですね。
EUがもう少し安定していればユーロも視野に入れてよいと思いますが、ブレグジットや収まらないテロを見ていると投資するには躊躇します。人民元も魅力はありますが、法治国家と言うには権力構造が独裁的すぎます。豪ドル、カナダドル、ニュージーランドドルなど先進国通貨も魅力ですが、株式投資に使える通貨と考えると投資先が限られます。
以上の理由から、円とドルを運用のための二大通貨として所持しておくのは理に適っています。今は、円建てで優れたドル資産が持てる時代です。
強制貯蓄効果
2つ目は強制貯蓄効果です。いったんETFなどのアセットにしてしまえば、通貨に戻すときにまた売却の手間と為替相場のリスクがでてきます。特につみたて投資など生活余剰金で運用する場合は、取り崩す必要性も薄いですね。
追加投資分も含めて、そのまま証券口座に貯金されていくことになります。
世界経済の成長に同期できる
3つ目は世界経済の成長に同期できるからです。
たとえばS&P500は今や外需の売り上げが4割にも及びます。米国企業の作り出したプラットフォームが世界各地で機能している証左といってよいでしょう。ドル建てにしろ、円建てにしろ、世界経済の成長に同期しながら資産成長図れるというのは、ドル資産の魅力の一つです。
誰もができる投資としての米国株投資
2018年以後、東証上場ETFや投資信託が増え、大変米国株が買いやすくなりました。1655や2558といったS&P500連動ETFは今は外国税額控除が不要な商品になっています。
また、2568は日本人がアクセスしにくかった、Nasdaq100の購入を容易にしました。かつては0.45%程度の信託報酬を払わないと購入できませんでしたが、ようやくQQQにほとんど近いコストで購入ができるようになったということです。Nasdaq連動の投資信託と比べても突出して低い信託報酬を実現していますね。
ここでは東証上場ETFをご紹介しましたが、投資信託もご存じのとおり数と質が極めて高くなりましたね。それは、つみたてNISAの功績もあるでしょう。
いずれにしても、低金利時代を過ごす私たちにとって、米国株投資は資産運用の常識となった感があります。2010年代に入っての大きな変化といってよいでしょう。
目先の乱高下にとらわれず、淡々と、こつこつと続けていくことですね。
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